減税と増税は常にワンセット

先日、来年度の税制改正案が政府から公表されました。

 

今回の改正案では、未婚のひとり親に対する減税措置ができる点で注目されましたが、私が気になったのは「男性のひとり親と女性のひとり親の間の不公平を解消する」という文言でした。

 

ひとり親については、今までも寡婦・寡夫控除といって配偶者と死別又は離婚した人が適用できる所得控除があるんですが、実は男女間で適用要件や控除額が違っていました。例えば、男性は所得が500万円以下でないと適用できない、しかも子供がいないと適用できない、適用できても男性の方が控除額が少ないなど。

 

男女平等とされている今でも税制上はこのような不公平があることを不思議に思っていました。それがこの度解消されると聞いて、詳しく調べてみると・・・全然解消されていない。

 

確かに、男女ともに500万円以下でないと適用できなくなり、控除額も男女で同じになりました。しかし、男性は相変わらず子供がいないと適用できません。女性は子供がいなくても適用できるのに。なんでこんな中途半端な改正をするんでしょうか。

 

おそらく男女の不公平の解消というのは後付けで、未婚のひとり親に対する減税措置による税収減を補うために寡婦・寡婦控除を調整したというのが本当のところでしょう。事実、今回の改正で所得が500万円超の寡婦は増税になります。

 

目立つ減税のうらで男女平等という名のもとにこっそり増税が行われるということです。減税と増税は常にワンセットだということを知っておきましょう。