早いもので年末調整の季節になってきました。
年末調整をやっていていつも思うのは、国は本当に都合のいい制度を定着させたものだということです。
サラリーマンの税金計算を会社にやらせるわけですから税務署は手間が省けます。もしサラリーマン全員が確定申告書を出すことになったら税務署はそのチェック等で相当なコストがかかると思います。国のコストが減るという意味では国民にとってもいい制度なのかもしれませんが。
しかし、年末調整の最大の効果は国民に納税意識をなくさせたことにあります。会社が税金計算をするのですからサラリーマンは自分の税金がいくらだったかなんて分かりません。源泉徴収票に所得税の金額は記載されていますがそんなところは見ていません。見ているのは年収がいくらになったかだけです。実際自分がそうでしたから。
その上、年末調整は還付金が支給されるのでなんだか得した気分になれます。まあ、多めに天引きされていた所得税が戻ってきただけなんですけどね。こうなると納税意識なんて無くなったも同然です。
かくして国はサラリーマンを物言わぬ優良納税者とすることに成功したのです。
国は取りやすいところから税金を取ります。サラリーマンはその代表です。法人税を増税できないのは国際競争力云々以前に物言う納税者がいるからです。
こんど源泉徴収票をもらったら所得税や社会保険料の金額を確認してみてください。それは自分が国に納めた金額です。その金額を窓口で現金払いする場面を想像することが、物言う納税者になる第一歩かもしれませんね。